2007-09-06
デンバー雑感

まず驚くのは、空港の異様な外観。鉄筋コンクリート製ではない。インディアンのテント(ティーピー)がいくつも並んだような外見で、実際の所、屋根は布製に見える。これが、何もない草原にぽっかりとある。
まわりは、道路と草原だけ。ダウンタウンと空港の間にあるホテルに泊まったのだが、ホテルのシャトルで30分ぐらいかかった。空港からしばらくは、何にもない。
それもそのはず。デンバーは、グレートプレーン(ズ)と呼ばれる大草原の始まり(終わり?)の地だ。ここから東西はいくつの州にもまたがって、東へは、隣の州の真ん中あたりまで、ひたすら平地が続くのだ。太陽は、水平線から登るのだが、それは我々日本人に見慣れた海ではなく、地面である。
オレは、太平洋にへばりついた、サンフランシスコに住んでいるので、こんな広い大地には普段お目にかかれない。広い、でかい、巨大、というのは、こういうことを言うのだなと実感。デンバーを見て、やっとアメリカを見た気がする。
デンバーに来ると、牛肉が安いのも実感する。ホテルの近くにファミレスがあって、そこは食べ放題なのだが、結構うまいビフテキもたった11ドルで食べ放題だった。これ、サラダやらデザートやら飲み物やら込みの値段である。(もっともひとつだけ落とし穴があって、この店は、アルコールを出さない。アルコールなしでは、肉はあまりたくさん食べられるものではない。)
もっとも、住みたいかと言われると考え込んでしまう。ダウンタウンに行った。そこは中心を通る道を一般車通行止めにして、無料シャトルバスが運行するようになっており、なかなか歩行者にやさしい。それはいいのだが、最近再開発で作ったような人工的な町で、昔からの小さな商店、とかはなくて、チェーン店ばかりであった。ショッピングモールを横に延ばしたようなものだ。さらに、夜にうろうろしているのは、20代から30代中頃の若者ばかり。それ以上の歳の人達はあまりみない。どうやら、この辺では、30超えたら結婚して家族を持ち、家族を持ったら町を夜うろついたりはしないらしい。実に健全。つまらん町だ。
ところで、今回泊まった、ダブルツリーホテル、防音に問題があった。最初の夜は、隣の部屋のテレビの音と宿泊客の笑い声が気になった。その部屋とオレの泊まった部屋は、一枚のドアで仕切られているだけなので、防音が弱いのだ。これは、アメリカでよくある、ホームスイーツの仕組みで、親子連れとかが泊まる時に、両親と子供を別々の部屋にするが、お互いに廊下を通らずに行き来できる仕組み。しかし、関係ない人達の場合、防音効果が激減する。次回部屋を選ぶ時は、気をつけねば。翌朝、といっても、9時とかだが、オレがうとうとしていると、いきなり、女性の声で、「Give it to me.」(あえて訳さない)という言葉が聞こえた。その後、嬌声が聞こえ、さらにそのあと男性のうめき声が聞こえた。この間約5分。えっ、何、これー?朝からー?どうも隣のバスルームで、プロレスごっこ(「クレヨンしんちゃん」語)をしたらしい。聞いてしまって、得したような、恥ずかしいような、迷惑なような、複雑な気持ち。後でよく調べると、どうやら、オレの泊まった部屋のバスルームの換気パイプと、昨夜とは反対側の隣の部屋のバスルームの換気パイプが、直通で繋がっているみたいで、隣のバスルームでの声はまる聞こえなのだ。ここまでひどいのは、まれだが、一般にアメリカのホテルは壁が薄くて、防音対策とかあまり考えていないことが多いので要注意である。(その晩から、バスルームのドアは閉めて寝ることにした。)
[9月11日追記] ダブルツリーホテル、悪いことばかり書いてはかわいそうなので、ちょっといいこと。ここのレストラン(ザ・カフェという、手抜きな名前)、2流ホテルのレストランにしては、いい。どうせキャンベルの業務用缶詰を暖めただけのものを出すんだろうと期待しないで、チキン・ヌードル・スープを注文したところ、すごく大きな皿にチキンが具沢山で入ったものが出て来た。おまけにチキンがとてもおいしい。放し飼いで育てた鶏を時間をかけて料理しました、って感じの味。(本当にそうかどうかは不明。)デンバーの地名がついて有名な全国料理にデンバー・オムレツというのがある。これは要するに、ハムとピーマンとチーズの入ったオムレツのことだ。これを頼んだところ、出て来たものをみて仰天した。大きさが、日本のオムライスよりでかい。勿論ライスなど入っていなくて、全部卵と具だ。卵を12個使っているとか。横で同じものを注文したアメリカ人も驚いていた。このレストランの名物料理だそうだ。聞いてみたら、さすがにこれを全部食べきった人は、あまりいないそうだ。この大きさで確か8ドルちょっと。3人ぐらいで来てこれひとつ注文してちょうどいいぐらいなので、お得である。