2007-07-03

イギリスの医療保険制度に驚く

毎度社会問題を痛烈に批判するマイケル・ムーア監督の新作映画「シッコ」。今回は、先進国の中でも最低の国民医療保険制度を持つ、・・・というか、持たない、アメリカ社会の実態を突く。シッコ(SiCKO) は、日本語のおしっこのことではなく、精神的または道徳的に病的(sick)な人、だそうだ。きっと日本語的には、カタカナで、ビョーキ、って感じ?


全くアメリカの医療制度はサイテーである。国や州政府の管理する健康保険制度はあることはあるのだが、これが適用されるのは、老人と、児童と、低所得者だけである。(低所得者と言っても、こんな所得ではとてもじゃないがサンフランシスコでは食っていけない、という所得制限なので、この辺ではほとんど役に立たない。)まともな中小企業は、福利厚生の一環として従業員に医療保険を提供するので、ほとんどの人は、この保健制度を使う。問題は、小企業や零細企業に勤める人、自営業の人、そして失業者だ。この人達は、自分で民間の保険会社の売る医療保険に入るしかないのだが、この保険料がここ10年ほどの間にどんどん上がって、いろいろな制限付きの保険でも家族で毎月600ドル(7万2000円)とか払わないといけない。自営業の一部の人には問題ないがそれ以外の人にはとても払える額ではない。結果、多くの国民が医療保険なし、という状態になっている。こういう人達は、法律により支払い能力がなくても治療をすることが義務づけられている救急病院に行くしかなくなり、救急病院は何時間待ち、という状態になったりして、社会問題化しているというわけだ。


これに比べると、日本は超先進国である。国民皆保険で、保険料も収入に応じてなので、ちゃんと払える。病院に受診しても自己負担は薬込みで1000円位。入院しても一日1万円前後。(アメリカでは、全額自己負担だと1日100万円弱!)これなら安心して病院に行ける。(これはどうかと思うが)救急車はタダだしね。と思ったら上には上がいた。


映画は見ていないが、監督へのインタビューのポッドキャストを聞いた。この中で、イギリスの病院の紹介があった。イギリスでは、病院は国が運営し、医者は公務員だそうだ。受診料は、・・・タダ!出産もタダだからきっと手術もタダなんだろう。まあ、この辺は、昔社会の教科書でイギリスは、「ゆりかごから墓場まで」の福祉国家と習ったので、驚かない。ムーア監督が病院の人に聞く。「医療費タダなんだったら、そこにある会計窓口は何のためにあるんですか?」答えは、交通費の払い戻しをするため、だって。何と病院が患者にお金を払うのだ。えー、ここまでやるか!確かイギリスの福祉制度は度を超しているというので、サッチャー首相が大鉈をふるって削減したはずだが、削減してもこんなにすごいのか?ただただ、あきれてしまった。


ちなみにこの番組の podcast は、ここから見れます。(ビデオでも見れるらしい。):

http://www.pbs.org/now/shows/326/index.html

Comments:
そっか、アメリカの健康保険て
アルゼンチンと大差ないですねえ。
(と言ったらブッシュ大統領は怒るだろか?)
 
ブッシュは怒りたいだろうけど、怒れないですね。このポッドキャストによると、アメリカの医療制度は、WHOの集計で世界37位なんだそうです。スロバニアよりはいいって。
 
最近,日本では治療費を払わない人、払えない人が多数出てきてそのために病院経営が危ぶまれているようです。それで経営ができなくなって閉める病院もあるらしい。テレビで出ていた病院の支払い窓口とのやり取りでも「持ってないものは持ってないんだ!」みたいにかなり強気で対応する患者もいる。もちろん治療を受けた後だから食い逃げみたにできるよね。。。。じゃ、やった行った治療返してください、って訳にはいかないし。。。
 
イギリスの救急18時間まち、手術半年待ちなのですよ
 
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