2007-05-26

小学生の地図帳に見る誤解の始まり

日本の教科書無料配布制度のおかげで、うちでも、日本の小学校の就学年齢である息子用に、教科書セットを入手することができる。(念のために言っておくと、米国内の送料は個人負担である。)(しかし、教科書の採択は教育委員会の責任のはずだが、いったいどの教育委員会の決めたものが送られてくるのかは、謎である。)

それで、何と無くひまなので、4〜6年生用の「楽しく学ぶ小学生の地図帳」というのを何となくながめていた。

アメリカ合州国は、ジーンズとハンバーガーの国ということになっていて、わざわざ「ジーンズをはき、ハンバーガーを食べる家族」の写真までついている。おい、こんなの、日本人だってやってるだろ、と思うが、まあこれはいいことにしよう。(それより、肥満の国アメリカ、として、日本人に比べて幅も奥行きの2〜3倍ある人達の写真でも掲載したほうが、もっと国情を反映しているぞ。)

問題は、地図だ。この地図を見てもアメリカのことはわからん。何が問題かというと、交通網として鉄道路線しか書かれてなくて、高速道路網が存在していない、ということだ。ご存知と思うが、アメリカの交通輸送手段の第一位は車。鉄道は、交通手段としては、東海岸の都市間と、主要都市近郊の通勤用にわずかに存在するが、国全体としては皆無といってよい。何しろ国土が広すぎるので、モノの輸送手段としてはまだ健在のようだが、それでも量的にはトラック輸送の方が断然多いと思われる。それなのに、鉄道路線しか書かないというのは、どういうことだ。例えば、サンフランシスコからロサンゼルスへモノでもヒトでも移動するのに、この地図を見るとまるで海岸沿いを行けばいいように見えるが、実際には内陸を走るインターステート5号線を使う。この地図では、そういうことがさっぱり読み取れない。日本では鉄道が主要交通手段なので、鉄道網だけ書いても意味があるが、(ところで日本でも輸送手段としてはトラックに替わられているのではないだろうか?)、他の国ではそうとは限らない。鉄道がほとんどない国だって多数あるのだ。

こんな地図を小学生の頃から使わされていたら、世界を自分の国情からしか理解できない人が育ってしまうのではないだろうか?

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