2007-08-25

中部カリフォルニア冒険の旅(その4)

2007年7月23日(月) 朝食後、修理の経過を聞くために修理工場に電話をかける。が、まだわからないから1時間後にかけ直してくれとのこと。次に、本日11時から連れ合いが2回目のマッサージの予約をしていたエサレン研修所に電話して、予約を取り消す。事情を説明するが、規定通り24時間以内の取り消しは返金できないとのつれない答え。もしもその時間にマッサージを受けたい人が表れたら、マッサージの権利を譲るように試みてくれるそうだが、あと2時間後の話なので望み薄である。(結局、転売は成立せず、前金で払ったマッサージ代150ドルがパーになった。)

しばらくロッジ周辺の庭園(画像)とか丘とかをうろうろした後、また修理工場に電話。トランスミッションが原因らしいが、そこの工場では手に負えないのでサンルイオビスポ(San Luis Obispo=SLOと略) のディーラーのところへ運ぶようにすすめられた。取りに来てくれというが、そこはルシアから60マイル(約100km)南のカンブリアという町。どう行けばいいか聞くと、レッカー会社に頼んだら来てくれるかも、といういい加減な返事。仮にすぐ来てくれたとしても、半分くねくね道の60マイルだと、1時間半はかかる。かといって、この辺にはバスもタクシーもないし、タクシーあったとしてもとんでもない値段になりそうだ。それよりは、誰かに頼んで載せてもらったほうが早そうなので、生まれて初めてヒッチハイクをすることになった!

まずは荷物をまとめてから、売店へ行き、チェックアウト。その際、売店の人に事情を話し、もしお客さんで南へ行く人がいたら、同乗させてくれるかを聞いてもらうようにお願いした。

それから道路の端に立って、南へ行く車を見つけては親指を進行方向に向けた例の合図を送るが、誰も止まってくれない。というか、そもそも南へ行く車はとても少ない。ほとんどが北へ行く車ばかりだ。南へ行くのは、バイクが多い。たまに来る自動車は、いっぱいに乗っていたり、荷物がいっぱいだったり。そうでない車は、わざとらしく視線を避けたり、知らんふりしたり。

30分ほどして、この方法ではだめだと思い、また売店の人に相談。そしたら、親切に空き箱のふたをちぎってそこに「Cambria」と大きな字で書いた看板を作ってくれた。新しい武器を持って、再度挑戦。だが、これもどうも芳しくない。前と同様、南へ行く車が少ない、という状況も好転しそうもない。

道路で合図して拾うのは、女性のほうがいいだろうということで、その役は連れ合いに任せ、オレは、売店やレストランや併設のトイレを使うために駐車した車に直談判を始めた。いいけどあと5マイル先にしか行かないよ、という人。奥さんに聞いてみないとわかんない、とか何とか適当なこと言って、奥さんに聞きもしないで行ってしまう人。いろんな人がいる。先日のレッカーのお兄ちゃんは、皆親切だから問題ないよー、などと言っていたが、ウソじゃん!昨日は親切な人ばっかりだったのに、いきなり都会に戻った感じ。

そうこうしているうちに、オレと同じスバル製の車で来た若い女性二人連れをみつけた。メーカは同じだが、ひとまわり小さい車種だ。荷物もたくさんあるので、だめかなとは思ったが、一応同じメーカーのよしみということで、話だけしてみた。スバルはトヨタやニッサンやホンダのようにポピュラーではないので、同じメーカーの車だというだけで、ちょっとした仲間意識を覚えるのだ。そしたら、つれってあげたいけど、荷物が入るかなぁ?うまく積めるんだったらいいよ、という、ちょっとうれしい返事。早速連れ合いを呼び、彼女達の荷物を適当に詰め替えて少しあいた隙間に、無理矢理オレ達の荷物を入れ、荷物の一部はひざの上に置くとかしたら、かなり窮屈だが何とか入った!これで、カンブリアまで行ける。この二人(画像)、高校の時のクラスメートで、今は別々の州に住んでいるけれど、今日はサンタクルツからアリゾナまでドライブ中だという。女性にしては割と無口で坦々と運転をする。こっちが気にしていろいろ話かけたぐらいだ。運転をしている人のお母さんがニューエイジ系の人で、エサレンにも行ったことがあるという。今回は、サンタクルツでヨガの先生の資格を取るワークショップを受けたそうだ。彼女ら、どうも、できたら今日中にアリゾナまで着こうというなかなか無謀な計画らしい。

1時間半ぐらいして、カンブリアに到着。修理工場の指示に従って商店街のはずれのガソリンスタンドで降ろしてもらう。せめてガソリン代だけでも出させてくれと言ったが固辞された。お礼を言い記念写真を取らせてもらってから別れる。修理工場からの迎えの車を待つ間に、近くのパン屋で昼食代わりにパンと紅茶を買う。15分ほどして迎えが来る。修理工場まで5分ぐらい。修理工事側ですでに自動車運搬車の手配はしてあり、そこで飼っている犬の相手をしながらしばらく待つ。修理はしなかったものの点検代ぐらいは取られるかと覚悟していたが、ありがたいことに無料だった。自動車運搬車にオレの車を載せ(画像)、オレ達は乗客席に座って、SLO のディーラーの所まで出発。

SLO は、カンブリアから南東へ30マイル(50 km)ほど離れたところにあるこの地方の中核都市。カリフォルニア工科大学のキャンパスもある。ここに昼過ぎに到着。ディーラーの修理工場は高いので利用したことがないのだが、さすがディーラー、受付は丁寧で、待合室もあり、商店街への送迎車もらる。(だから高いのだが。)点検して問題点を特定するまで数時間かかるというので、送迎車で商店街まで送ってもらう。夕方近くになって連絡がある。トランスミッションのギアの葉がこぼれているほか、複数の問題がみつかり、トランスミッションそのものの交換が必要だとのこと。そしてお値段は、えっ?3900ドル(=40万円強)!?それって、車自体の中古車価値の半分じゃん。そんなお金出してまで直す価値あんのか?

とりあえず送迎車に来てもらい、ディーラーの所へ戻る。そんな高価な修理するより新車買ったほうが安いんじゃないの?ともらすと、ではセールスの方へとつれていかれれる。新車や新古車買うんだったら、今の故障した車は2000ドルで下取りしますよ、ということで、一応何台か車を見せてもらうが、今イチ気に入ったのがない。適当な値段なのは、色が気に入らないかったり、マニュアル車だったり。それに、だいたい、こんな遠くのディーラーから、旅の途中で自動車を買うなんて、どう考えても馬鹿げている。一方、セールスマンは何とか売ろうとプレッシャーをかけてくる。

これと並行して、車にちょっと詳しい友達に相談したり、普段車を見てもらっている修理工場の人と相談したりした。サンフランシスコの修理工場は、ディーラーよりもずっと安くトランスミッションを交換できるが、サンフランシスコまでの230マイルの移動費用が翌朝にならないとわからないという。

あれこれ考えているうちに、頭は混乱しているし、喉は乾いているし、体は疲れていることに気づく。こんな状態ではロクな考えは浮かばない。今はまず休憩して、ゆっくり考えた方がいいと思い、休暇を1日延長し、この日は SLO に一泊することにする。セールスのオフィースにあったコンピューターを借りてインターネットで近くのモーテルを探し、予約。オレ達の担当になってしまったかわいそうな若いセールスのお兄ちゃんがそのモーテルまで送ってくれた。送迎車サービスは、5時までで、もう終わっていたのだ。

宿で、インターネットを使っていろいろ情報を仕入れるつもりで、わざわざインターネット接続可のモーテルを選んだのに、どうもうまく繋がらない。無線LANの電波が強くなったり弱くなったり。却って隣のモーテルの無線LANの電波の方が強かったりする。なので、あまり情報を仕入れることはできず、かろうじて、車の中古車としての価値を調べることと、同列モデルを新車で買った場合の価格だけ調べた。やはり予想通り、トランスミッションの交換は、中古車価格の半分の出費となる。

翌朝、サンフランシスコの修理工場の人と話す。車の移動費が700ドルかかるが、それを足しても3000ドル以内で直せると主張する。この車種用のトランスミッションはもう生産されていないので、トランスミッションは新品ではなく、再生品。1年の保証がつくという。今度はディーラーの修理工場と電話で話す。こちらもやはり再生品のトランスミッションだが、スバルのメーカー保証が2年付き、どのディーラーでも直してくれるとのこと。この車を1年以内に売ることを想定すると、メーカー保証が1年残っているのは、いい売り文句になるかもしれない、と考え、1000ドル高いがディーラーに直させることに決断した。

シャトルにホテルまで来てもらい、保証内容に関して再度確認、一筆もらい、代車を借りてサンフランシスコへの帰路に付く。途中で、ワインカントリーほどではないがワイナリーのたくさんあるのでちょっと有名なパソロボスという町に寄った。ただしワインは飲まずに食事だけ。暑いので、ガスパッチョ(画像)がおいしい。火曜日夕方、やっとサンフランシスコの自宅に着く。長い旅だった。

翌土曜日、再び代車を5時間走らせてSLOのディーラーまで修理の終わった車を取りに行く。代車を渡して、代わりに元気になった自分の車を走らせて、またサンフランシスコへ。これで、本当に今回の旅は終わった。もうSLOに来ることは当分ないだろう。

・・・となるはずだったが、話はそう簡単ではない。どうせSLO来たんだから、せめて近くの温泉(正確には鉱泉)でひと風呂浴びて行こうということで、5マイル離れたシカモア温泉へ行くが、途中で異臭に気づく。温泉についてから車体の下を覗くと、おおなんと、排気パイプから煙が出ているではないか!一難さってまた一難とはこのことだ!ひと風呂浴びた後あわててディーラーの所に戻る。土曜日なので整備士がいないが、ちょっとわかる人が車を台に上げて下から観察すると、何やら油が少しずつ落ちて来て、排気パイプに当たっているのが観察される。この人が修理工場の責任者に連絡して対応を協議してくれた。そしてこの車は再修理。我々は代車で帰る、ということになった。またSLOとサンフランシスコを往復なんていやだ、と文句言うと、修理の終わった車を誰かがサンフランシスコまで運転して来てくれて、交換で代車を返す、ということになった。やれやれ。また代車を運転してサンフランシスコへ帰る。ただし今回は駄々をこねて、少し大きめのアメ車で快適である。パソロブレにまた止まり、今回はワインテイスティング。

翌土曜日、修理の終わった車はやっと我々のもとに戻った。煙が出ていたのは、故障ではなく、トランスミッションの製造過程で使うグリスが残っていたためだった。拭き取って、何回も検査し、テストもしたから大丈夫、とのこと。

これでやっと・・・と思ったら大間違い。よく見ると、細かい傷がついているので、これはタッチペイントで処理。ブレーキを踏むと変な音がする。これは、修理工場に持って行って調べてもらったところ、ブレーキパッドを挟む装置が寿命でガタがきていることが判明。修理代700ドル。そして昨日は、タイヤに釘がささっていたのがわかり、あわてて汗を流してスペアタイヤに交換。(これは、行きつけの修理工場が幸い無料で補修してくれた。)

どうもオレには車運がないようだ。車の神様、どうかオレの所に来てください!

(おしまい)

Comments:
こんにちは。mixiでカモメ三世さんのことは前々から存じ上げていましたが、こちらのblogは今日はじめて読みました。

しかし、この一連のトラブル!大変でしたね。自分だったらカモメ三世さんのようにヒッチハイクする自信はないです…。途方にくれて泣いてしまうかも。
 
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