2007-01-29

映画「リトルバーズ」とマスク

今日、日本人ジャーナリスト(多分)の綿井健陽(わたい たけはる)氏の作った、イラク戦争のドキュメンタリー映画「リトルバーズ - イラク戦火の家族たち」の上映会があるというので行って来た。これは、イラク戦争の開戦から2年間を、普通のイラク市民の視点から撮ったドキュメンタリーである。2家族にスポットをあて、それぞれがどのような被害を被り、その中でもどれだけだくましく生きているかを描いている(とオレには見えた)。だいたいにおいて血に弱いオレは、病院の中のシーンでは、目をあけてられなかった。痛そうにのたうちまわっている人、足が切断された人(処置済みでガーゼはしてあるが)、片腕を無くした子供、クラスター爆弾の破片のささった人などが出ていた。綿井氏が、アメリカ軍兵士に、どうしてフセイン政権崩壊後も残留しているのか、大量殺戮兵器はどうなったのか、なぜ子供を殺すのか、と質問するシーンでは、どの兵士もまともな答えができず、逃げていた。

アメリカ軍はイラクの人々のために駐留しているのだと信じているアメリカ人に是非見てもらいたい映画なのだが、残念ながら米国内でのDVDの流通経路ができていないようだ。監督本人も会場に来て、上映後座談会があり、どうやったらDVDを入手できるのかという質問があったのだが、即売するDVDは持って来ていないとこのこと。えぇ、どうしてぇ?と思ってしまった。

で、この映画には、自衛隊のサマワでも活動もちょっと出ていた。アメリカ人は自衛隊もイラク戦争に加担していることを知らない人が多いみたいで、隣の人達は、「あれなんで日本の軍隊が?」とささやいているのが聞こえた。自衛隊員は、日本のマスコミ相手に、隊内の食事を披露し、それを食べるためシーンを撮るため、「ああ、もう少し体を下にしてこっち向いて」とか指示されて、ポーズを取らされていた。このシーンに対して、座談会で、あれはいったい何だったのかという質問が出ていた。アメリカ人はこういうことはしないらしい。

自衛隊の活動として紹介していたのが、医療活動。地元の子供病院での自衛隊軍医(軍じゃないタテマエだからこう言うべきではないのだろうが、他にどう言うのだ?)の小児ガン患者との交流を紹介していた。その1シーンで、地元の病院スタッフといっしょに病室を回診するシーンがあるのだが、オレが異様に思えたのは、自衛隊の軍医だけマスクをしている、ということ。そうそう、アメリカでもマスクをしている医者というのはあまり見ない。あれは、英語では、surgical mask、つまり手術マスクといって、手術をする時にするもので、他の時にはあまりしない。それにひきかえ、日本では、かぜをひいたら他の人に移さないためにマスクをしなければならない、ということになっているが、あまり医学的効能はないときく。いったいどうして日本人はマスクを信仰するのだろう?映画の主題とは全く関係ないが、考えてしまった。

最近やっとアメリカ人も物事を少しは冷静に見えるようになったようで、ブッシュの2万人増兵計画は議会でも軍内でさえも、指示を得ていないようだ。しかし、ブッシュはおかまいなしに計画を実施しようとしている。困ったことである。国民の意見を背景に、議会がブッシュを罷免することを願うしかないようだ。

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