2007-01-25

はじめてのハワイ(その3) 〜波乱の帰国日〜

いきなり帰国日の話だ。途中のことは、また後で。

帰りの飛行機は夜10時発。空港は、ホテルのあるカイルア=コナから車で20分ほどの距離にあり、空港もごくごく小さいので空港内の移動時間も考える必要は無いから、最後の日は、まるまる一日使える。

午前中は、プーホヌア・オ・マナウナウ国立公園という、ポリネシア王朝時代の遺跡を見に行く。王族の住む地域と、宗教上の規則に違反したり戦争で負傷した人 達の駆け込み寺的な所が隣接してあるのが面白い。宗教上の規則に違反して死刑を宣告されても、その駆け込み寺地域に24時間隠れていれば浄化されて、罪は チャラになるのだそうだ。さすが南国、いい加減。王族用船着き場には、写真のような木彫りがあった。


遺跡を見たらホテルに戻り、ホテル横の海岸でもう一度シュノーケルで潜り、それからあわただしくパッキング。 制限時間の正午ぎりぎりにチェックアウト。荷物はホテルに預ける。というのは、飛行機に乗る前にホテルのゲストルーム (というのがあるらしい)でシャワーをあびたかったので、どうせホテルに戻るつもりだったからだ。

最後の日は、ちょうどクリスマス。ハワイに限らず、欧米のクリスマスは、日本の正月のように静かだ。皆、家族で集まって家で食事をする。日本の恋人とラブラブなクリスマスを想像しないように。だから、普通の店は閉まっているし、レストランも、閉店しているところが多い。しかしここは一応観光地なので、開いている店は少しはあるはずだ。もっとも我々は前日、ハ ワイアン・ディナーショーでたらふく食べたので、あんまり空腹でなく、レストランをあんまり一生懸命探そうともしなかったのでよくわからない。結局、ガソリンスタンドで売っ ていた、スパム(豚のくず肉で作ったハムもどき)とオムレツ風卵とノリとご飯の典型的なハワイ弁当の最後のひとつを買って家族で分けたり、あまった菓子類を食べて昼は済ます。

午後は、島の西海岸の北の方へ1時間ばかりかけてドライブし、高級リゾート地域の海岸へ行く。ここはおとといも来たところで、波が強く、その波とたわむれて遊ぶのが目的だ。前回来た時は、いわゆるボディーサーフィンといって、来る波に押されて海岸を滑ることをした。その時、ブギボードで遊んでいる連中が楽しそうだったので、今回は、ブギボードをレンタルした。ただし、一枚だけ借りて、それを息子と交代で使う。

息子がブギボードを使っている間、オレは、ボディーサーフィン。最初浅いところでやっていたが、そのうちちょっとあきてきて、もう少し深い所へ行く。やってくる波が くずれるすぐ手前(海岸側)まで行った。大きな波が来たので、それに乗る・・・ったつもりだったが、いつのまにかオレは波の中にいる。つまり巨大な水の 固まりの中だ。そしてその水はオレの体を翻弄する。オレは、水の中で木の葉のように舞い、そして右肩に激痛が走る。海底の砂にたたきつけられたようだ。 うーん、波は恐ろしい。

砂浜のビーチタオルの上で寝転がってちょと休むと、しかし、そのことはすっかり忘れて、また波とたわむれに行く。まわりをながめると、楽しそうにボディー サーフィンをしている男どもは、沖に向かって泳いでいる。なるほど、多分、波がくだけ始めるところより向こうに行って、波に乗れば、楽しいのだな、と思い オレも泳ぐ。で、ふと回りを見ると、あれ、誰もいない?ありゃ、まずい、足もつかんぞ。こりゃ大変。あわてて、方向を逆転して、海岸に向かって泳ぐ。しかし、思ったよ うに進まない。そういえば、昔スキューバ・ダイビングの資格を取る時に読んだ教科書に、海岸にはリップカレントとかいうのがあって、海岸に戻るのは大変だ、と書いてあった。(その時は、岸にと並行に泳げ、ということも書いてあったのだが、そんなことは、その時は思い出せない。)とにかく、夢中で、海岸に向かって泳ぐ。あれ、まだ足がつかないぞ。やばい。これでは力尽きてしまうのか?オレは、ハワイで海のモクズとなるのか?とか、かなり悲観的ムードになっているうちに、やっと足が着いた。ああ、よかった。

これだけ2回怖い目にあえば、慎重になるのが、賢い人だ。後から聞いた話だが、その日はいつもより波が高く、事故も多かったそうだ。でも、オレは、賢い人ではなかった。

肩の痛みがおさまった頃、息子からブギボードの順番が回って来た。最初は、海岸の近くで遊ぶが、思ったほど滑らない。つまんねーなぁと思う。

ふと見ると、ベテランらしき男達は、波がくずれるあたりまで行き、いい波を待っているみたいなので、オレもまねをする。でも一応前回の過ちをしないため、今回は、波のくずれるところより先には行かないつもりだし、ブギボードがあるからとりあえず泳がなくても浮いてられるので、前回よりは安全なはずだ、と考えた。

お、いい波が来たぞ。波に 乗ろうとする。あれっ?いつのまにか波の中だ。また水の固まりに体を取られたようだ。あ、今度は、ブギボードをつかんでいるので、さっきよりもさらに波に 翻弄されているぞ。あれよあれよと、波任せに体が動き、ガ〜〜〜〜ンという激痛が頭を走る!今度 は、頭から、地面にたたきつけられたようだ。

幸い意識は失わなかったが、かなり痛い。何とか立ち上がり、よぼよぼと、ビーチタオルのところまで戻り、横になる。ちょっと冷めたビールの缶を頭の打ち付けたところに当てて冷やす。だが、痛みはそれだけではないことに気づく。首が痛い。どうやら、自動車の 衝突事故と同じように、むち打ち症のようになっているような気がする。妻に頼んで氷をもらって来てもらい、冷やすが、なかなかよくならない。こりゃまずい なぁ。

念のためと思い海岸の監視員に相談したら、救急病院へ行くことを強く勧められる。この時時間は、3時頃。オレの経験では、アメリカの救急病院というのは、血をダラダラ流しているような患者以外は、とっても長い間待たされ、そんな所へ行ったら、飛行機に間に合わなくなる可能性大だ。しかし、無理をして飛行機に乗って、飛行機の中で症状が悪化して、太平洋の真ん中なので緊急着陸もできず、機内で死亡、なんてことになるのもいやなので、しぶしぶ同意。何と、生まれて初めて、救急車に乗るはめになる。

案の定、着いてみると、まず医者が来るのを待たされる。やっと医者が来て、問診をして、CT を取ることが決まる。今度は、CT が空くのを1時間近く待つ。CTを取るのは10分程度だが、今度はその画面(多分デジタル化されていて、フィルムの現像とかは今はしないと思う)を放射線専門医が見て、その所見を担当医に渡し、何てことをするのにさらに1時間。結局、首の骨は折れていないので飛行には問題なしという診断結果がて出、強力な鎮痛剤をもらって病院を後にしたのが、6時。飛行機まであと4時間しかない。

運ばれた病院は、ホテルからさらに遠い地域にある病院だったので、ここからホテルへは普通なら1時間半かかる。しかしクリスマスのせいか、幸い道はいつもより空いていて、ホテルへは1時間で到着。荷物をもらい、一部の荷物の入れ替えを行うが、勿論シャワーを浴び ている時間なんてない。オレは、砂だらけの体のまま、8時ちょっと前に空港へ向けて出発。

いくらクリスマスでも、中華料理屋は開いているだろうと思い、空港に行く途中にあるモールの中華料理屋へ行く。お、さすが、電灯がついているぞ、やっと飯にありつける、と、喜んで行ったら、ドアが開かない。店じまいをしている。どうやら、クリスマスなので8時閉店らしい。くそー。じゃあ、隣のウエンディーズは、と目をやると、完全に閉まっている。今日一日開いていた形跡なし。えっ、ファーストフードの店も閉まるの?

これ以上開いているレストランを探していると飛行機に間に合わなくなる心配があったので、夕食は空港内のレストランで 食べることにして、とりあえず空港へ。レンタカーの返却はスムーズに終わり(客は我々しかいない!)、空港ビルまでのシャトルバスもすぐに出してくれたので、空港ビルには余裕で到着。チェックインを済ませて、セキュリティーチェックを過ぎる。

よし、1時間あるぞ、これでやっと食事にありつける。この小さな空港の、唯一のレストランに入ると、えっ、そんなぁ。今日はレストランの営業はおしまいで、バーだけの営業?食べ物は一切無い?じゃあ仕方ない、売店で何かつまみでも食べるか、と思って見渡すと、店も全部閉店しているではないか!おい、なんだ、これは?一応、国際線も就航する国際空港なんだろ。最終 便が飛ぶ前にレストランも店も閉店なんてありか?おまえら、やる気あんのか?(勿論、ない。)

というわけで、オレ達は、ハワイ島最後の日の後半を、スリルとサスペンスと空腹で過ごした。でも、取りあえず、生きて、飛行機の便の変更(=多分すごっく高くつく)をする必要もなく帰れたので、よしとしたい。波とクリスマスの日の旅行は要注意だ。

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