2007-01-05
残業代廃止を阻止せよ
日本では、事務職技術職の残業代を廃止できるように法律を変更しようという話が、何やら突然始まっていると聞く。何と今国会で成立させるとか?
http://www.asahi.com/life/update/1227/015.html
官僚どもは、例によってこれに「ホワイトカラー・エグゼンプション」などとわけのわからん英語の名前をつけて国民を煙にまこうとしているが、こんなことでだまされてはいけない!
確かに、アメリカでは、オレのような技術者や、弁護士や、その手の専門職に対して、この制度はすでに使われている。オレの給料明細にも、「EXEMPT」と書いてある。これにより、時間による細かい管理が行われなく なり、仕事が終わったら金曜日は早めに帰る、とかできる会社も多い。だが、混同してはいけない。シリコンバレーには少ないが、今でも多くの伝統的な会社で は、勤務時間は9時から5時半まで、と決まっていて、拘束されるらしい。残業代廃止と、勤務時間を自由にすることは別問題である。実際の所、日本の今の法制下でも、フレックスタイムを採用している企業は多い。
残業代を出さなくていいというのは、あくまで規定時間より長く働いても残業代を出さ なくていいという制度であって、勤務時間を個人の裁量で短縮できる制度ではない。基本的には、会社に都合のいい制度である。
じゃあ、日本の法律では、時間規制対象外の社員は、個人の裁量で勤務時間を短縮できるようにすればいいだろう、と思うかもしれない。が、そんなことをしても問題解決にはならない。会社としては、要するに一日8時間勤務ではとてもできない量の仕事を与えておいて、「さあどうこなすかはあなた次第ですよー」と言えばいいのだ。
アメリカでこういうことが実際には問題にならないのは、労働市場が広く、流動的だからだと思う。それと、アメリカ人は、一般的に個人の生活を重要視する。そのため、あんまりひどい負荷を与えるような上司が上に来たら、労働者は違う会社に移る。そういう歯止めがあるのだ。
以前よりよくなったとはいえ、まだ転職がしにくい日本では、この歯止めがない。唯一の歯止めは、残業代である。これを払わなくていいとなったら、会社側は労働者を奴隷として使うであろうことは目に見えている。仕事のためなら、終電車まで仕事をし、平日は妻子の顔を見なくても当然と思っている企業戦士のいる日本。また、集団の和を尊重するため、つきあい残業が当たり前で、有休の消化もままならない日本。そういう風土で、残業代を廃止すれば、家庭崩壊と過労死が大量に発生するだろう。
アメリカでは、たとえプロジェクトの締め切り間際の佳境であっても、以前から予定していた休暇があれば、休む。遠慮もなければ、謝るなんてことはない。オレも、他社とのプロジェクトで、締め切りが近い時に、プロジェクトの担当者から、「あ、ところで、来週からオレ2週間、休暇だから、来週から代理の人と相談してね」と言われて、おったまげたことがあるが、そういうことが平気で言える風土なのだ。日本では、勿論、このようなことを言うと、バカヤローと一喝される。社長がどなりこんできて、その会社と取引中止になるかもしれない。事前に根回ししておき、平謝りで休まなければならない。状況によっては仕事を優先させ、休暇取り消しもありだ。いずれにせよ、職場にお土産はかかせない。(アメリカでは、職場にお土産を買うということはまずない。)
この労働者ドレイ化(今でもすでに奴隷だが)を狙った法律改悪に関して、安倍総理大臣は、この制度が労働時間短縮につながり、家族といっしょにいる時間が増え、(だから妻とセックスをする機会が増えるので、という理屈?)結果として少子化対策になるなどとほざいたそうだ。
http://www.asahi.com/politics/update/0105/007.html
まったく、会社で仕事したことのない二世議員はこれだから困る。日本の会社社会の仕組みがよくわかっていないようだ。
一般的には、この制度は、考慮に値するが、今の日本の風土ではだめだ。まず、個人・家族の都合を仕事に優先できるような風土ができた後で考えるべきことだ。少なくとも、ほとんどの人が気兼ねなく有休が消化できるような風土がなければならぬ。もう一度、断言するが、今この案にそった法律の変更案が通れば、家庭崩壊と過労死が急増する。絶対に通してはいけない。
http://www.asahi.com/life/update/1227/015.html
官僚どもは、例によってこれに「ホワイトカラー・エグゼンプション」などとわけのわからん英語の名前をつけて国民を煙にまこうとしているが、こんなことでだまされてはいけない!
確かに、アメリカでは、オレのような技術者や、弁護士や、その手の専門職に対して、この制度はすでに使われている。オレの給料明細にも、「EXEMPT」と書いてある。これにより、時間による細かい管理が行われなく なり、仕事が終わったら金曜日は早めに帰る、とかできる会社も多い。だが、混同してはいけない。シリコンバレーには少ないが、今でも多くの伝統的な会社で は、勤務時間は9時から5時半まで、と決まっていて、拘束されるらしい。残業代廃止と、勤務時間を自由にすることは別問題である。実際の所、日本の今の法制下でも、フレックスタイムを採用している企業は多い。
残業代を出さなくていいというのは、あくまで規定時間より長く働いても残業代を出さ なくていいという制度であって、勤務時間を個人の裁量で短縮できる制度ではない。基本的には、会社に都合のいい制度である。
じゃあ、日本の法律では、時間規制対象外の社員は、個人の裁量で勤務時間を短縮できるようにすればいいだろう、と思うかもしれない。が、そんなことをしても問題解決にはならない。会社としては、要するに一日8時間勤務ではとてもできない量の仕事を与えておいて、「さあどうこなすかはあなた次第ですよー」と言えばいいのだ。
アメリカでこういうことが実際には問題にならないのは、労働市場が広く、流動的だからだと思う。それと、アメリカ人は、一般的に個人の生活を重要視する。そのため、あんまりひどい負荷を与えるような上司が上に来たら、労働者は違う会社に移る。そういう歯止めがあるのだ。
以前よりよくなったとはいえ、まだ転職がしにくい日本では、この歯止めがない。唯一の歯止めは、残業代である。これを払わなくていいとなったら、会社側は労働者を奴隷として使うであろうことは目に見えている。仕事のためなら、終電車まで仕事をし、平日は妻子の顔を見なくても当然と思っている企業戦士のいる日本。また、集団の和を尊重するため、つきあい残業が当たり前で、有休の消化もままならない日本。そういう風土で、残業代を廃止すれば、家庭崩壊と過労死が大量に発生するだろう。
アメリカでは、たとえプロジェクトの締め切り間際の佳境であっても、以前から予定していた休暇があれば、休む。遠慮もなければ、謝るなんてことはない。オレも、他社とのプロジェクトで、締め切りが近い時に、プロジェクトの担当者から、「あ、ところで、来週からオレ2週間、休暇だから、来週から代理の人と相談してね」と言われて、おったまげたことがあるが、そういうことが平気で言える風土なのだ。日本では、勿論、このようなことを言うと、バカヤローと一喝される。社長がどなりこんできて、その会社と取引中止になるかもしれない。事前に根回ししておき、平謝りで休まなければならない。状況によっては仕事を優先させ、休暇取り消しもありだ。いずれにせよ、職場にお土産はかかせない。(アメリカでは、職場にお土産を買うということはまずない。)
この労働者ドレイ化(今でもすでに奴隷だが)を狙った法律改悪に関して、安倍総理大臣は、この制度が労働時間短縮につながり、家族といっしょにいる時間が増え、(だから妻とセックスをする機会が増えるので、という理屈?)結果として少子化対策になるなどとほざいたそうだ。
http://www.asahi.com/politics/update/0105/007.html
まったく、会社で仕事したことのない二世議員はこれだから困る。日本の会社社会の仕組みがよくわかっていないようだ。
一般的には、この制度は、考慮に値するが、今の日本の風土ではだめだ。まず、個人・家族の都合を仕事に優先できるような風土ができた後で考えるべきことだ。少なくとも、ほとんどの人が気兼ねなく有休が消化できるような風土がなければならぬ。もう一度、断言するが、今この案にそった法律の変更案が通れば、家庭崩壊と過労死が急増する。絶対に通してはいけない。