2010-05-14

administrator と管理者

日本では、会社で休暇の申請をしていてそれが通っていても、もし仕事が予定通りに行かず、プロジェクトが修羅場となっていれば、休暇を返上しなければならないことになる。もしスケジュールが遅れていて、おい担当者をよこせと客から言われて、担当者が休暇でございます、などとおうものなら、客は烈火のごとく怒ることになるだろう。しかし、これは、世界の常識ではない。

少なくとも西洋では、社員も人の子、休むのは当たりまえと思われている。担当者は休みでございます、と言えば、ああ休暇じゃしょうがないね、と妙に納得することになる。もっともだからといって会社で受けた仕事を担当者一人が外れたせいにばかりもできないので、他の部署から応援をみつけてくるなり、外注するなり、スケジュールの遅れを認めてもらう交渉をするなりの手を打つ必要はある。こういうふうに、事をマネージするから、上司は、マネージャー(manager) と呼ばれる。ただ部下を怒っているだけの人は、マネージャーではない。この manager は、管理職と訳されることがある。

一方、コンピューターでいろいろなプログラムのインストール(設置)とか、利用者の追加・変更・削除を行う人のことを、system administrator と呼ぶ。これは、通常、システム管理者と訳されるのだが、同じ管理者でも、administrator と manager には雲泥の差があるので注意が必要だ。

system なしで、ただ administrator と呼ばれる職種がある。これは、グループのお世話係だ。文房具の購入やら、打ち合わせの時間調整やら、出張の時の予約やら、会議室の予約やらそういうことを行う。秘書の、対グループ版だ。この administrator は、管理者、とは訳せない。訳したら大きな誤解が生まれてしまう。あくまで、お世話係である。その意味で、system administrator をシステム管理者と呼ぶのは、少々問題がある。システムお世話係とか、システム雑用係とか訳すべきだろう。(でもそうすると、system administrator privilege を、システムお世話係特権と訳すことになり、これも間抜けである。翻訳の世界は難しい。

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