2009-08-28

タクシーにタダ乗りする

オレは最近、サンフランシスコから湾を渡った反対側、通称イーストベイと呼ばれる地域に引っ越した。サンフランシスコからちょっと離れるだけで、気候は温暖になり、緑は多くなり、街は広々とした感じになり、家賃が安くなる。リスやスカンクだって出て来る。問題は、サンフランシスコまで通勤手段だ。車で橋を渡るか、BART(バート)という通勤電車を使うことになる。(サンフランシスコまでは海底トンネル。)車を使うと、橋の通行料$5取られる上、職場周辺の駐車料金が$10から$15かかる。その上、通勤時間帯は橋入り口周辺のインターチェンジ(地元マスコミは、これを、maze=迷路と呼んでいる。)がたいへん渋滞して、すいていれば15分ぐらいでサンフランシスコに着くはずなのが、3〜40分かかる。一方 BART は、日本みたいな押しくらまんじゅう状態まで混むことはなく、運が良ければ座れるので、その点は快適。だが、片道$4ぐらいかかる上、駅まで結構歩くので、結局のところ職場まで45分かかかってしまう。

という話を地元のちょっとした知いあいにぼやいたところ、その人からいい話を聞いた。カジュアルカープールの乗り場が新しい住居のすぐ近くにあるというのだ。

カープールというのは、アメリカの大都市圏でよくある制度で、車に規定の人数以上乗れば、優遇措置を受けれるという制度。車にひとりだけ乗って移動するのは、渋滞の元だし、エネルギー資源の無駄使いになるので、相乗りを促進させるための制度だ。何人以上で、どういう優遇措置が得られるかは、場所によって異なるが、サンフランシスコとイーストベイとを結ぶベイブリッジの場合、運転手を含めて3人以上乗れば、橋の通行料がタダになり途中専用レーンを通れるようになっている。単にカープールと言った場合、近所の人で職場の近い人とあらかじめ時間と場所を打ち合わせて行うのだが、ガジュアルカープールの方はそういう面倒な打ち合わせはない。決められた所に、乗客のほしい車と車に乗りたい人が集まって、順番に乗って行く、という仕組みだ。これなら、その日の状況に応じて自分の好きな時間に行けるので、気が楽である。そして、費用はタダ。車の人は、橋の通行料金がタダになり、専用レーンも使えるというだけで特典があるので、乗客がお礼を払うということもない。完璧にタダである。

そのカジュアルカープールの待機所が、新しい住居から歩いて5分ぐらいのところにあって、2週間前から使い始めた。おおむね快適である。毎日違う人と話ができて、新鮮だし、カープールレーンを使うとだいたい20分ぐらいで職場近くまで行ける。この前など、運転手がたまたま日本人で、思わず話し込んでしまった。一応サンフランシスコで乗客が降りる場所というのも決まっているのだが、運転者の都合と合うと、オレの職場のすぐ近くでおろしてくれたりする。ただこれも、あたりはずれがあって、今週は、無口で無愛想な運転者が多かった。(カープールのエチケットで、運転者が話しかけない限り、乗客からは話さない、ということになっているので、実は単なる口ベタな人だったのかもしれない。)

で、今日、そのカープールの待ち合い場所に行くと、いつもと違って、車が1台止まっているだけで、廻りに人がいない。そしてその車とは、タクシーだ。そのうち、一人歩いて来て、そのタクシーい乗り込んだ。これは、あんまり車が来ないのに業を煮やして、その人が呼んだのか、と思ったが、その人が乗っても出発しないで止まったまま。他に誰もいないので、オレが運転手に、これカープールなの?ときくと、そうだとゆう。そこで、そのタクシーに乗り込み、今日はタクシーにタダで乗ることができた。これはどういうことかというと、そのタクシーはサンフランシスコのタクシーで、サンフランシスコ市内と空港でしか営業許可を持っていない。お客さんをイーストベイに運んだ後、橋代払うのがもったいないので、オレ達を拾ったんじゃないかと思う。しかし、タクシーに20分も乗ってタダというのは、ちょっと異様だったな。

それで話はちょっと変わるが、日本の政治の話。(日本の)民主党は、高速料金をタダにするとか言っているが、財源はどうするつもりだ?すでに減価償却の終わった高速道路ならまだ話もわかるが、全部タダとなると、今までの建設費はどうやって払うのだろう?そもそも不思議なのは、高速道路は民営化したはずなのに、どうして未だに政治家の意向で国が料金を決めて、民間会社に対して赤字経営をするように命じられるのか、ということだ。それ安くするんじゃなくて無料だなんて、今の民主党は、自民党よりもタチの悪い、バラマキ政治をやろうとしているように思える。こういう、金のかかることじゃなくて、カープールみたいに、お金もかからず、エコにもなるような制度の導入して、知恵で国民の生活を豊かにすることを考えてもらいたいものだ。それが本当の Change である。

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