2005-01-16

少年兵の話

最近ラジオ番組でショッキングな話を聞き、1月号に載せるつもりがすっかり忘れていた。ちょっと旬なものなので、追加記事として書く事にする。というのは。2月号まで待つと、ラジオ局のリンク先がなくなってしまうかもしれないからだ。

この番組は、Fresh Air という長寿番組で、Terry Gross という女性がいろいろな人に話を聞くというインタビュ−番組。アメリカの公共放送網を通じて全国できくことができる。(ちなみに日本でも有線できくことができる。)問題の番組は1月13日放送分で、"Children at War"(戦時の子供達)という本の著者の Peter Singer 氏をゲストに迎えての番組である。
http://www.npr.org/rundowns/rundown.php?prgId=13&prgDate=12-Jan-2005
に概説があり、ここからリンクをたどると、勿論英語だが、録音を聞く事が出来る。(なぜかオレの Mac iBook と Firefox ブラウザの組み合わせではうまくいかなかった。Windows 上で Internet Explorer を使うと問題なし。たぶんブラウザの設定の問題であろう。)

内容は、ここ10年の間に、世界中で、少年兵が兵力として使われるのが日常化してきたという話である。ここで少年と言っているのは、10歳以上のの子供ということで、10歳児も含まる。10歳と言えば、オレの息子とそう年は違わない。まだ善悪の判断のつかない、幼さの残る年である。ということで、オレには人ごとに思えない話だ。その10歳の子供が機関銃を撃って敵を殺すのである。恐ろしい。

こういう少年兵のなり手をどうやってみつけるかというと、大半は孤児を連れて来て、養成するのだそうだ。さすがに親がいると、親に反対されるのであろう。その孤児に、こっちの仲間になれば、食事に困ることもないし、誰かにモノを脅し取られることもないよ、と甘い言葉で勧誘するのだそうだ。政府がなかったり、あっても非力で福祉がいきわたってない世界では、孤児は自分の力で生きて行かなければならない。だから、怪しげな団体でも、食と身の安全が
保障されると言われると参加するらしい。

その子達にまず教えることは、機関銃の使い方。しかし最近の銃は軽くて扱いやすく使いやすなってきたので、30分もすれば使えるようになるらしい。しかしそれだけでは、人を撃つ事は心理的な抵抗があってできない。それで、住民処刑の現場に連れて来て、少年に無理矢理銃で人を殺させる。時には、あいつを撃たなかったら、お前を撃つぞ、言って脅かして銃に手をかけさせる。1回人を殺害したら、きっと神経が鈍るのだろう、人を殺すのが平気になる。お
まけに、人殺しと言うレッテルが貼られるので、普通の社会には戻れなくなのだそうだ。

さらに社会に戻ることが困難になるよう、少年兵を雇う側は卑劣なことをやる。まずは、その組織の入れ墨や焼き印を入れさせる。そうすると、反対組織の側に寝返ることができなくなる。普通の社会にも戻れなくなる。さらに、コカインのような薬物を無理矢理摂取させ、薬物中毒に仕立てる。そうすると、一度組織を抜けようとしても、薬物欲しさに戻って来るという仕掛けだ。薬物も最初はいやがるのを、銃口を向けて無理矢理摂取させるそうだ。

こうして育て上げた少年兵だが、彼らには一番危険な任務が待っている。それは、前線で一番先頭を歩かさせて、人間地雷探知機として使われるのだ。あるいは、とにかく人数をそろせて、数撃ちゃ当たる式の戦いをやらせる。何しろ孤児で、死んでも文句言う人がいないから、小片兵を雇う組織側は、単なる消耗品としてしか扱わない。

こういうことを、世界のゲリラ組織は勿論、サダムフセインとか、他の政権も結構やっていて、最近の流行になっているのだそうだ。まったく恐ろしいことだ。

気になるのは、今回の津波で多数の孤児がうまれた、ということだ。彼らがこのような組織の餌食にならないことを祈るばかりである。

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